Interview

商品本部長 三上 寛紀さん

DEEP BLUEをつくるひと

Vol.01
商品本部長
三上 寛紀さん

DEEP BLUE歴20年超!
洋服販売をこよなく愛する商品本部長
ファッションとの出会い、DEEP BLUEのこれから

現在、商品本部長としてDEEP BLUEに携わっていますが、洋服販売の道に進んだきっかけはなんですか。

もともと両親がファッション関連の仕事をしていて、小さい頃から東京のメーカーさんに連れて行ってもらったり、周囲もそういう人が多く、ずっと洋服に囲まれた環境で育ってきました。両親にコーディネートされた服を着せられて、七五三の写真を見ると、革ジャン着てボアのついたブーツを履いていたり、子どもなのにおしゃれな美容院に連れて行かれたり、もちろん当時はそういう境遇であることは意識していませんでした。
やがて自分で洋服を買うようになりましたが、最初はダサくて(笑)。両親が選んでくれていた時代が一番おしゃれだったかもしれません。

与えられていたファッションから、自ら選ぶファッションへ……

中学生になって交友範囲も広がり、外に遊びに行く機会が増え、洋服も自分で買いたいと思うようになりました。初めて自分のお小遣いで買ったのは、リーバイス501のホワイトデニムとブラックデニムです。倉敷の駅前通りに当時あった、渋いおじさんがやっているデニムショップで、入りづらい雰囲気の縦長の狭いお店に、勇気を振りしぼって入ったことを今でも鮮明に覚えています。
あと、自分が身を置く環境で知り合う人や友達に影響されて、どんどん着る服が変わっていきますよね。高校生になって通い始めた倉敷のセレクトショップでは、そこの店主と仲良くなって、洋服だけでなく、DJやらせてもらったり、カルチャー全般、かなり影響を受けました。当時、フルカウント※を岡山で唯一取り扱っているお店だったこともあり、フルカウントのデニムを履くようになって、思い返せば、そこからデニムの洋服を販売する流れに繋がっています。

※フルカウント…1993年の創業以来、ヴィンテージジーンズの履き心地・風合いを実現し追求を続ける国産ジーンズメーカー。

ジーンズを見る三上さん

ファッションの仕事をする両親の元に生まれ、多感な時期にファッション関係の友人と出会い影響を受け、ますますその流れに。

高校を出てからはそのセレクトショップでアルバイトをしていました。ある時紹介された販売の仕事が、エターナル※を扱っているお店でした。そこでは他にも色々なレプリカブランドや、古着も取り扱っていて、そのうち仕入れもやらせてもらうようになりました。自分が好きなブランドをピックアップしたり、海外に買い付けに行ったり、自分たちで企画して海外で商品を作ったり、店舗自体をゼロから作るために内装の企画にも携わりました。そこで10年働いて、ファッション販売に関して自分がやりたいことは全てやらせてもらったと思っています。

※エターナル…素材・縫製・加工、全ての工程に職人によるこだわりの技術が生きる、デニムの産地、倉敷市児島生まれのジーンズブランド。サイトはこちら(https://eternaljeans.official.ec/

その後、お誘いのあった新たな会社※に移り、エターナルのレディース版『DEEP BLUE』に出会いました。その商品も扱うセレクトショップの、アイボリックモーメント※の運営に携わり、レディース商品を売ることに初めて本腰入れてやらせてもらうことになりました。

※新たな会社…DEEP BLUEを販売する現会社(株式会社青鴉)の前身。
※アイボリックモーメント…2005年〜約12年、岡山・中庄で営業していたセレクトショップ。

現在の担当業務は、営業、経理、総務、商品管理…… 多岐に渡りますが、一番好きな業務は?

2018年の事業譲渡を経て、企画とデザイン以外の業務は3人でやっている会社なので、ゼロから物を作ること以外は大体なんでもやっています。これまでの経験で一番好きな業務は「直接お客様とやりとりして、その洋服の良さを伝えて売ること」です。販売はただ仕入れて売っているだけじゃなくて、仕入れるにも次の市場を読んでの判断力も必要ですし、お客様がいないと始まらないですから、来ていただくためのお店づくり、そして買っていただくための接客力、言わば人間力が試されます。ブランドの力だけではなくて、僕に信頼があるから買ってくれることにもなるわけです。だからお店で売るって本当に大変なんですけど、面白くて深いんです。今は直接エンドユーザーさんに販売することはないですが、お取引先の各店舗への営業面で役立っています。

インタビュー中の三上さん

販売経験者だからこその、営業する上での利点はなんでしょうか。

営業一本だと、基本的には自分の会社のブランドのことしかわからないですよね。僕は様々なブランドを見て仕入れて販売をしていた経験から、ほとんどのブランドを知っています。例えば、あるブランドAを扱っているとしたら、関連性のあるブランドB、類似性のあるブランドCもわかるので、店舗さんのやりたいことが見えて、だったらDEEP BLUEをどう見せていくかとか考えられますし、逆に仕入れるお店側の立場でのアドバイスもできます。店舗での販売でエンドユーザーさんを通してわかったことが経験値となって、製品の改良をはじめ、様々な業務に生かせていると思います。

DEEP BLUEを通じてお客様に提供したい価値はなんですか。

5年先、10年先も着ていたい服、気づいたらいつの間にか長く着ている、古き良き変わらない物作りの良さを伝えたいです。
時代が変わっても、いつもそばに居続けられるような存在でありたいです。僕自身は今はもうお店に立っていないので、作業用にファストファッションブランドを買うこともありますが、やっぱり1年程でだめになりますね。生地の色もおかしくなりますし、座ったり立ったりしてお尻の部分が擦れると、縫しろの部分に変なアタリが出てそこだけ色が褪せたりします。本来なら、そういう状態にはならないですし、味わいになるはずのものがただ劣化するだけ。だから頻繁に買い換えなきゃいけない。安いものは安いなりだなとすごく感じます。高ければいいというわけではなく、丈夫で長く履ける、それだけの品質を維持できる適正価格であることが大切なんだと思います。
DEEP BLUEは、品質の良さからファンのみなさんに長く愛されてきました。履き心地、丈夫さ、本格派を軸に持ち、流行に左右されない物作りができるブランドです。自分の洋服に対する価値観に合っているので、携わっていて心地良いですね。

ジーンズを見る三上さん

三上さんにとって洋服を作るということは?

“期待に応えること”です。
DEEP BLUEのファンであるエンドユーザーさんから「これからも変わらないで、いいもの作ってくださいね」とお手紙をもらったり、東京からわざわざお菓子を送ってくださる方もいます。熱狂的なリピーターさんは何本も同じものを買ってくださったり、色違いで揃えてくださったり。そういった方から「今4本目なんですけど、もう作らないんですか?また再販してほしい」といったご要望をいただくこともあって、本当に感謝しています。
2020年の会社の再編でデザイナーも変わったので、デザインの方向性も少し変化していると思うんですよ。時代の流れも相まって、どうしても変わっていく部分もありますが、その新しい力で、これまで培ったブランドの魅力をより一層強化したいと思っています。製品の良さを広く伝えていくためにも、これまでのユーザーさんの期待にはもちろん、新たなユーザーさんの期待にも応えられるように繋げていきたいと考えています。

My basics these days.

やりたいことをゼロにするために、瞬間瞬間を大切にしたい。

インタビュー中の三上さん

最近の “ベーシック” は何ですか?

夕食後のジョギングです。
45歳になって、今後10年おきにしたいこと、55歳、65歳、75歳、85歳…… このスパンで自分がしたいこと出来ることを落とし込んで、タイムバケット※という考え方の目標を書き出しました。年齢で出来ることが変わってくると思うので、今は走っています。65歳の僕は多分走れないと思うので、今の僕にできること。人生一回きりなんで、後悔しないように。「これができなかった」「本当はあれがしたかった」と思うのではなくて、やりたいことをゼロにして最期を迎えたいという考えです。先細る話じゃなくて、やり切るために、瞬間瞬間を大切にして進んでいくための指針ですね。

※タイムバケット…「人生でやりたいこと」を年代別の「バケツ」に分けて、実現時期を明確にする考え方。